■救命処置の手順
救命処置の手順を覚えましょう。
「普段通りの呼吸」がない場合にはAEDを使用します。 |

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①意識の確認
耳元で「わかりますか?」と大声で呼びかけます。
意識があれば、リクエストを聞き応急手当をします。
意識があっても、必要に応じて119番通報をし、救急車を待ちます。
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②助けを呼ぶ (救急車&AED準備)意識がなければ、大声で助けを求めます。
周囲の人に119番通報とAEDの準備をリクエストします。
周囲に人がいなければ、自分で119番通報をし,AEDがあればとりに行きます。
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③仰向けにする
首を痛めないように後頭部を片手で支え、もう一方の手を肩に回して、体全体を仰向けにします。
ウェットスーツが救命処置のじゃまになる場合には、脱がせるかはさみなどで切断します。
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④呼吸確認
胸や上腹部の動きを「見て」、「普段どおりの呼吸」がない場合にはAEDを使用します。
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⑤回復体位
意識がなくても「普段どおりの呼吸」をしている場合は、呼吸が妨げられないように回復体位で救急隊員を待ちます。
左右どちらか横に体を向け、頭を反らせて気道の確保を行い、両方のヒジを曲げ、上になっている手の甲を頭の下に置きます。
上になっているヒザを約90度曲げ、体が後に倒れないようにします。
嘔吐しても自然に流れ出るように口元を床に向けます・
水から引き上げたダイバーでは体温が低下していることがありますので、毛布やレスキューシートなどで体をおおい保温します。
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⑥AEDの使用
「普段どおりの呼吸」をしていないと判断される時は「すぐに」AEDを使用してAEDの音声メッセージに従います。
「すぐに」AEDを使えない場合には、次の手順⑦の「気道確保&人工呼吸&心臓マッサージ」をおこないます。
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1 AEDの電源を入れます。
(カバーを開けると自動的に電源が入るタイプもあります。)
2 電極パッドを取り出します。
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3 衣服を脱がして胸部に電極パッドを貼ります。
電極パッドを張ったあとは、身体にさわらないようにしましょう。
周囲の人にも近くに寄らないよう注意を呼びかけてください。
ウエットスーツを脱がせた直後など、身体がぬれている場合は必ず
水分をふき取ります。
アクセサリーなど身体に触れているものはすべてはずしましょう。
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4 AEDが心電図を解析しはじめます。
5 除細動(心臓のケイレン除去)が必要な場合、音声メッセージが流
れ、自動で充電が始まります。
充電が完了するとボタンが点滅します。
6 周囲の人が事故者から十分はなれていることを確認してから、
点滅しているボタ ンを押します。
除細動(心臓のケイレン除去)が終わるまでは、事故者に
さわらないよう注意します。
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7 除細動(心臓のケイレン除去)が終わると、AEDが心電図を解析
します。
8 AEDの音声メッセージに従って、5~7までの手順を繰り返します。
9 除細動(心臓のケイレン除去)の必要がなくなると、AEDから
人工呼吸と心臓マッサージを行うように音声メッセージが流れます。
電極パッドをつけたまま、人工呼吸と心臓マッサージを行います。
10 脈拍、呼吸、意識が正常に戻っても、救急車が到着するまでは、
電極パッドは貼ったまま、電源も入れたままにしておきます。
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⑦気道確保&人工呼吸&心臓マッサージ
気道(空気の通り道)が閉じないように開けてあげることを気道確保といいます。
人工呼吸は呼気(吐く息)を肺に吹き込んで、酸素を血液に送ります。
呼気は肺で酸素を取込み二酸化炭素を排出した後の空気ですが、16~18%の酸素が残っています。
この酸素は生命を保つのに充分な濃度ですので、人工呼吸で呼気を患者に吸わせても大丈夫です。
心臓マッサージは停止している心臓を圧迫して、全身に血液を送ります。
心臓マッサージと人工呼吸の練習では、絶対に正常な人間で行わないでください。この練習には特別な人形を用います。
おぼれた人の救命では、「人工呼吸を最優先」します。
「ABC(エイ・ビイ・シイ)」と覚えましょう。
心臓の病気などによる呼吸停止時の救命手順は、おぼれた人の救命手順と異なり「心臓マッサージを最優先」するので、「CAB(キャブ)」の手順となります。
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1 かたい地面の上か、胸の広さよりも大きい板を背中の下に敷いて仰
向けにします。
2 胸部の片側にひざまずきます。
3 部分的にはずれる入歯や差し歯がある場合は、気道につまり呼吸
をさまたげる可能性があるので取り除きます。
総入歯の場合は、人工呼吸の際に口の形を保つのに好都合であれ
ば入れたままにします。
4 両手の親指で顔に密着するようにポケットマスクをおさえて、鼻と口
をおおいます。
ポケットマスクはコンパクトにたためてポケットに入れられるマスクで
す。
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5 両手をそれぞれ左右の下あごの曲った部分に置き、下あごの歯が
前に出て受け口になるくらいまで下あごを前方に引き出し気道確保
します。
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下あごを前方に引き出します
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6 気道確保をしたら、人工呼吸を行います。
息を吸って、胸がゆっくりと軽く膨らむまで1秒かけて息を吹込み
ます。
この時、胸の膨らみを確認できない場合には、ポケットマスクと
顔の間から空気がもれていないか注意しましょう。
吹き込みが速すぎたり、吹き込み量が多いと胃に空気が入って
しまいます。
大人への吹き込みは、で500mlから800ml程度になるようにします。
吹込みをやめて胸がしぼんでいくのを確認します。
この息の吹き込みを連続して5回行います。
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 胸がしぼんでいくのを確認
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7 人工呼吸をしたら、胸や上腹部の動きを「見て」、「普段どおりの呼
吸」があるか確認します。
「普段どおりの呼吸」をし始めた場合には、回復体位で救急車を待
ちます。
8 「普段どおりの呼吸」がなければ、心臓マッサージをします。
圧迫する場所は「胸の真ん中」です。目安は、乳首を結ぶ線上で
す。
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9 片方の手のひらの手首に近い部分を正しい圧迫する場所に置き、
他方の手のひらを上に重ねます。この時、両手が重なるようにし、
両手の指を組んで胸に触れないよう浮かせます。
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10 両ひじをまっすぐに伸したままで、上半身の体重を手のひらに載
せるように垂直に圧迫します。
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11 圧迫は少なくとも毎分100回以上の割合で、胸骨を 少なくとも5㎝
押し下げます。
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12 手を胸に置いたまま、圧迫を完全にやめます。圧迫をしている時
間と圧迫をしていない時間は、ほぼ等しくなるのが望ましいでしょ
う。
連続して30回の圧迫をします。
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13 「普段どおりの呼吸」をしはじめた場合には、回復体位で救急車を
待ちます。
14 「普段どおりの呼吸」をしていない場合には、「6」の息の吹き込み
を連続して2回行った後、上の「7」~「14」手順で人工呼吸と同時
に心臓マッサージをおこないます。
最初の5回の吹き込みの後は、人工呼吸と心臓マッサージの回数
は、すべて30(心臓マッサージ):2(人工呼吸)になるようにしま
す。
救急車が来るまで、あきらめないで続けます。
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人工呼吸と心臓マッサージの回数は、多少なら多かったり少なかったりしても大丈夫ですので、途中でやめたりせずに自信をもって続けましょう。
また、AEDの到着を待っている場合には、AEDの準備ができたら、心臓マッサージと人工呼吸を中止してAEDを使用します。
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救助者が1人の場合

救助者が2人の場合
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肺破裂を防ぐため、心臓マッサージと人工呼吸は同時に行ってはいけません。必ず交互に行いましょう。
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